新・こだわり派宣言「蓮岡 修 さん」

ことしこの人
絵本で教える本当の平和。
京都市左京区、絵本専門店「きんだあらんど」店長
蓮岡 修 さん(36)


 今年から新しく、絵本の読み語りを中心にすえた子育て支援の活動を始める。行政から委託を受け、地域で子育て中のお母さんたちに自由に立ち寄ってもらう場所を提供する。20年以上続いた子どもの本専門店を引き継いで2年目。子育て支援の会場は、一軒屋の2階にある店舗の上階を使う。ライフワークの読み語りをする回数は今よりずっと増える。
 島根県にある浄土真宗の寺に生まれ、大学でも仏教を専門に学んだ。「宗教で人が死ぬ」現場を見たくて報道カメラマンを志し、19歳でいきなりアフガニスタンの戦場に飛び込んだ。現地で、日本のNGO「ペシャワール会」代表の中村哲医師と出会い、1999年に現地派遣員としてアフガンでの医療活動と水源確保事業に携わることになった。武装勢力タリバーンの政権やアメリカによる空爆。治安が悪化しても黙々と働く中村医師の元で、住民たちと井戸を掘り続けた。
 ある日、孤児があふれるカブールで、日本の絵本『せかいいちうつくしいぼくの村』(小林豊作、ポプラ社)を偶然、見かけた。さくらんぼがよく採れる村で、1人の少年が戦争に行った兄の代わりに街へ果物を売りに行くストーリー。戦争の情景は何ひとつ出てこない平凡な日常が描かれ、最後のページで「村は戦争で破壊されいまはもうありません」と大虐殺の事実と合わせて語られる。「平和な日常」を描いた絵本に、子どもたちは取り合いまでして夢中になっていた。その大きな力に心を打たれ、「絵本は想像力を育てる。それが一番の平和の種だ」と感じた。
 子育て支援への参画には、アフガン体験に基づく思い入れがある。「戦争反対よりも、大好きな日常を確かめることが分かりやすい。挨拶をする。靴をそろえる。そこにこそ平和の種があると思います」。あれもダメこれもダメではなく、遊水地のように子どもたちがホッとできる場所づくりを目指す。いつでも誰でも肩の力を抜いて迎え入れる「近所のへんな兄い」になって、絵本で平和を話していくつもりだ。

キャプション
(1)アフガンで現地の人々と交流する蓮岡さん
(2)アフガニスタンで井戸を掘っていたころの蓮岡さん


Copyright © 2007 Ciao All rights reserved.