新・こだわり派宣言「祭」にこだわる 〜支える裏方の技〜
祇園祭の7月は、京の町が1年で最も活き活きと輝く季節だ。「祭」は1日の吉符入りから、24日の還幸祭まで連日、神事や各種行事が進む。この間に「祭」の表舞台と舞台裏で、数万人の人々が立ち働くことだろう。表と裏が心を一つにしなければ、「祭」の成功はおぼつかない。
「動く美術館」と呼ばれる山鉾巡行のように華やかな表舞台と違い、ふだん見られない舞台裏は、どんな世界なのか。多種多様な裏方さんの中から、山鉾の車輪製作や補修などに携わる京都市南区の竹田工務店を訪ねた。
作業場を訪れ、最初に目に入ったのは黒光りする鉾の大車輪。「岩戸山の車輪です。毎年、夏がすぎれば点検して修理が必要かどうか、見極めるのも私たちの仕事です」。社長の竹田茂夫さん(73)は大学を出て以来、もう40年近く祇園祭にかかわる仕事を経験してきた。
竹田工務店が祇園祭にかかわったのは、「昭和の鉾」と呼ばれる菊水鉾の復活に参加してから。菊水鉾は、幕末の京都大火災(どんどん焼け)で消失。戦後、再建計画が持ち上がり昭和28年、同社は木組みの本体部分などを請け負って見事にこれを完成させた。以来、鉾の車輪製作や補修で独自のノウハウを磨いている。現在では、菊水鉾や太子山、蟷螂山などの組み立てにも当たり山鉾巡行では竹田社長以下、従業員の大工さんたちも菊水鉾の車方などとして参加する。
大型の山鉾の車輪はすべて木製で、1つが直径2m弱もある。12tの鉾を支えるのだから、相当の強度が求められる。スポークに当たる「輻」(や)は21本あり、車輪の中心部品「轂」(こしき)に向かって均等な角度と幅で取り付けないとバランスが崩れてしまう。製作、補修はすべて手作業だが、特別な技術が欠かせないはずだ。
「車輪の製作自体は、そう難しくない。中心点に向かう正確なほぞ穴を轂に開けられたら、まず大丈夫。それより車輪の材料になる国産材の樫(かし)を探すのがひと苦労です。直径70cm以上の巨木でないと部材は取れず、確保できても乾燥に5年はかかる。気の長い作業なんです」。
車輪のほかに竹田社長は、鉾の屋根などの製作、補修も手がける。「鉾は巡行後、必ず分解されます。だから分解しやすく、且つがっちり壊れにくくしなければならない。そんな難しい注文に応えるのが私たちの仕事です。新しい工夫が成功したときは、本当にやりがいを感じますね」。支える職人の気概と誇り。祇園祭が千年以上も続いてきた理由の一端が、そこにある。
■取材協力
(株)竹田工務店
京都市南区東九条石田町32番地
TEL:075(661)2771
■キャプション
(1)木製の車輪はすべて手づくり。ベテラン大工の技術が頼りだ
(2)車輪の中心「こしき」に熱した鋼のたがをはめる作業
(3)車輪の矢(スポーク)をこしきにはめる作業
(4)鉾の車輪製作は、材料の良い樫材入手がカギと語る竹田茂夫社長

「動く美術館」と呼ばれる山鉾巡行のように華やかな表舞台と違い、ふだん見られない舞台裏は、どんな世界なのか。多種多様な裏方さんの中から、山鉾の車輪製作や補修などに携わる京都市南区の竹田工務店を訪ねた。
作業場を訪れ、最初に目に入ったのは黒光りする鉾の大車輪。「岩戸山の車輪です。毎年、夏がすぎれば点検して修理が必要かどうか、見極めるのも私たちの仕事です」。社長の竹田茂夫さん(73)は大学を出て以来、もう40年近く祇園祭にかかわる仕事を経験してきた。
竹田工務店が祇園祭にかかわったのは、「昭和の鉾」と呼ばれる菊水鉾の復活に参加してから。菊水鉾は、幕末の京都大火災(どんどん焼け)で消失。戦後、再建計画が持ち上がり昭和28年、同社は木組みの本体部分などを請け負って見事にこれを完成させた。以来、鉾の車輪製作や補修で独自のノウハウを磨いている。現在では、菊水鉾や太子山、蟷螂山などの組み立てにも当たり山鉾巡行では竹田社長以下、従業員の大工さんたちも菊水鉾の車方などとして参加する。
大型の山鉾の車輪はすべて木製で、1つが直径2m弱もある。12tの鉾を支えるのだから、相当の強度が求められる。スポークに当たる「輻」(や)は21本あり、車輪の中心部品「轂」(こしき)に向かって均等な角度と幅で取り付けないとバランスが崩れてしまう。製作、補修はすべて手作業だが、特別な技術が欠かせないはずだ。
「車輪の製作自体は、そう難しくない。中心点に向かう正確なほぞ穴を轂に開けられたら、まず大丈夫。それより車輪の材料になる国産材の樫(かし)を探すのがひと苦労です。直径70cm以上の巨木でないと部材は取れず、確保できても乾燥に5年はかかる。気の長い作業なんです」。
車輪のほかに竹田社長は、鉾の屋根などの製作、補修も手がける。「鉾は巡行後、必ず分解されます。だから分解しやすく、且つがっちり壊れにくくしなければならない。そんな難しい注文に応えるのが私たちの仕事です。新しい工夫が成功したときは、本当にやりがいを感じますね」。支える職人の気概と誇り。祇園祭が千年以上も続いてきた理由の一端が、そこにある。
■取材協力
(株)竹田工務店
京都市南区東九条石田町32番地
TEL:075(661)2771
■キャプション
(1)木製の車輪はすべて手づくり。ベテラン大工の技術が頼りだ
(2)車輪の中心「こしき」に熱した鋼のたがをはめる作業
(3)車輪の矢(スポーク)をこしきにはめる作業
(4)鉾の車輪製作は、材料の良い樫材入手がカギと語る竹田茂夫社長

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- 2010-07-10 10:11:00



















