フルーツカービング作家 佐藤 朋子 さん



フルーツカービング作家 佐藤 朋子 (さとう ともこ)さん

タイの伝統文化のひとつ、「フルーツカービング」。
京都・福井で教室を開く佐藤朋子さんを訪ねました。


 一目みたときから気になる存在、フルーツカービング。「もともと細かいことをするのが好きなんだと思います」という佐藤さんは、福井で教室を開いて3年目、昨年末に京都でも教室を開講されました。

 佐藤さんがフルーツカービングを雑誌で偶然目にしたのは3年前。「スイカを使って作っているところがすごく気になりました」。大阪に教室があることを知り、すぐに通い始めます。「初めは興味を持って教室に行っただけ。でもすぐに本場で勉強したくなったんです」。教室の先生にタイの伝統文化を学ぶ学校を紹介してもらい、3カ月間の短期留学を決意。その行動力は「勢い」だったとか。学校に通った3カ月間、集中的に技術を学び、タイ語も一から勉強。「周りの人に『日本で教室を開きたいの?』って聞かれたけど、そんな気は全然なかったんです。すごく上手な先生がいて、その先生のナイフさばきや作品が見れただけでも幸せでした」。

 帰国後、さっそく福井でフルーツカービングの展示会を開きました。「予想以上にたくさん来ていただいて、皆さんが楽しそうに見てくださっていたのが嬉しかったですね」。この展示会をきっかけに、佐藤さんのフルーツカービング作家としての世界が広がることになります。「展示会のとき、フルーツカービングをやってみたいという方が何人かおられたので、教室を開くことにしたんです」。このほかにも、企業のロゴを彫ってほしい、お祝いのプレゼントにしたいといった依頼が舞い込むようになったのもこの展示会がきっかけ。現在も出張講習や贈答品の依頼なども受けられているそうです。

 「スーパーでは必ず野菜売り場に行きます。色や形の美しさとか彫りやすさとか、ついそういう気持ちで見てしまいますね」。学生の頃から続けているという木工での創作活動もその源になっているのかもしれません。「フルーツカービングは作って、見て、食べて、3度楽しめます。日本ではまだまだマイナーですけど、人の目を引きつける力はすごくあると思うんです」と佐藤さん。展示会で集まってくれた人たちの笑顔が今も強く残っているといいます。今後については「もっと上手くなりたい。そして私にしか作れない『味』を出していければ」と笑顔で話してくれました。

★フルーツカービングとは…
タイで13世紀くらいから始められたともいわれる、長い歴史を持つ伝統工芸。ナイフ一本でフルーツや石鹸に花やレースなどの模様を彫り、ひとつの作品に仕上げるというもの。

※CIAO MAGAZINE 2007年4月号より抜粋


■キャプション
上/スイカ、真ん中/石けん、下/メロン

仏具彫刻師 冨田工藝

仏具彫刻師
冨田工藝 冨田 睦海・珠雲 (とみた むつみ・じゅうん)さん



「手を合わせてもらうものを守りたい」。
兄弟で仏具彫刻師という冨田さんご兄弟にお話をうかがいました。

 清水焼で有名な五条通りの一角。ガラス越しに製作途中の仏像が飾られています。「仏像を作っているところなんて見たことないでしょ? それを知ってもらいたくて、2年前、この場所に工房をオープンしたんです」と、冨田工藝3代目の睦海さん。京都で唯一という位牌を作る職人さんでもあります。




 冨田工藝の本店は伏見区。睦海さんの兄二人も仏具に携わる職人で、長男は刻字、次男の珠雲さんは仏像彫刻、三男の睦海さんは位牌製作を得意としているそうです。「小学生の時、父が兄弟三人を並ばせて、『彫ってみろ』って木と刀を渡してきたんです。その時のことはみんなはっきり覚えてます」と珠雲さん。学生の頃から工房に入り、掃除や刀研ぎを始めた二人。「当時は何でこんなこと、と思ってました。でも今思うと、落ちている木屑でその人がどんな作業をしていたか分かるし、刀を研ぐことが何より一番大事だったんです」。この経験で、彫刻で最も重要な、刀によって違う微妙な研ぎ具合を覚えたという睦海さん。兄弟共に大学へ進学する頃には、工房に入って本格的に仕事を任されるようになったと言います。

 新しい職人が育つ環境が整備されていない」。修業時代、兄弟全員が感じていたことでした。近年、その手頃感から外国製に市場を奪われている京仏具。京都の職人が作っても高くて売れない、だから職人も減っているという現状なのだそう。「仏具彫刻の仕事がしたいという人は多いのに、弟子を取るだけの受け皿がない。せめてうちだけでも協力できれば」(睦海さん)。やりたい気持ちがあるのに職場がない。この現状を変えていかなければ京仏具がだめになる。「仏像や仏具は人様が心をこめて手を合わせるもの。本物を守っていかないと」。これまでの、そしてこれからの伝統を守ることが役目と言います。

 「閉鎖的な職人の世界ですが、工房を開いてからいろんな職人さんと知り合いました。京都のいろんな分野の職人で現代の仏像を作って、若い力を見せられれば」という珠雲さんは、東京での展示会の準備に忙しく動いていました。睦海さんも、趣味で作っていた仏具のデザインをモチーフにしたアクセサリーが噂になり、もうすぐ一般に発売されるそうです。広い視野で京都の職人の世界に新風を吹き込む二人。「いつか兄弟で仏様の本当のお姿とされる『丈六仏』を作りたい」。職人としての伝統を守るために、兄弟の挑戦は続きます。




■睦海さん製作のアクセサリーブランド「睦海」




■「多くの人を救えるようにと指の間に水かきがあります。これをいかに美しくみせるかが難しい」(睦海さん)


■スケジュール
9:30/出社。
10:00/工房オープン。仏像や仏具の修理も行っているので、依頼のあったお寺に引き取りに行く。中には国宝級のものもあるそう。一日中、工房で作業していることもある。
20:00/工房閉店。集中力を高めるため、閉店後に黙々と製作に取り組むことも。

■経歴
1998年/学生のころから兄弟で工房に入る。珠雲さん、大学時代から職人として働き、卒業とともに冨田工藝に入社。
2000年/睦海さん、大学を卒業し、兄と同じく職人として入社。
2004年/五条坂に工房をオープン。
2006年/仏像彫刻の教室を始める(現在は水曜18~21時、日曜13~18時の週2回開催)。
2007年/東京にて仏像の展示会開催予定(日程は未定)。睦海さん、春から東京でアクセサリーを販売予定。(現在、オープン工房五條坂でも一部販売中)。


寺院佛具製作 冨田工藝
オープン工房五條坂
〒605-0846
京都市東山区五条橋東2丁目36-2
tel・fax/075-541-0123
※CIAO MAGAZINE 2007年3月号より抜粋

建築家 林アトリエ 林 義史・雅子

建築家
林アトリエ 林 義史・雅子(はやしよしふみ・まさこ)

設計図を書くことだけではない、意外と知らない建築家のお仕事について、ご夫婦で建築家という林義史・雅子さんにお話を伺いました。

 北山にある「林アトリエ」は林さんご夫婦の職場であり、ご自宅です。「私たちの自宅がモデルルーム。作品を実際に見たいという方には気軽に見学していただいてます」。黒い壁と開放的な玄関が印象的で、さすが建築家のご自宅といった雰囲気です。

 義史さんが建築家を目指したのは「昔から家の間取りを考えるのが好きだった」から。小さい頃から絵を描くのが得意だった影響もあると言います。大学では建築を学び、卒業後は設計事務所に就職しました。一方、雅子さんも小さい頃から絵を描くのが好きだったそうですが、建築家が夢というわけではなかったそうです。「高校生の時、それまで何もなかった北山に新しい建物がどんどん建ち始めてました。それを見ながら、何となく自分もこういうのをつくってみたいなと思ったんです」。その後、お二人が出会ったのは同じ設計事務所でした。

 設計事務所に務めていた頃は、病院や老人ホームなどの大きな施設に携わっていたという義史さん。大きな仕事をこなしながらも、学生の頃からの夢は住宅をつくること。その後、7年間務めた会社を退職し、4年前に独立。「一番初めの仕事は車庫の設計。初めの頃は内装から何でもやりましたね」。最近では住宅のリフォームから新築、大きなゲストハウスの設計もされています。

 建築家のお仕事はとても幅広いのだとか。「まずお客さんと打ち合わせを重ねイメージをまとめます。それから正式な設計図を仕上げ、工事業者へ見積りを依頼。業者が決まって着工したら、現場へ足を運びます。完成して、実際に引っ越して生活されるまでが建築家の仕事」と話す義史さん。「工事業者の立場ではなく、常にお客さんの側に立って進めるようにしています」。依頼者にとって「建築の専門知識を持った代理人」であることを大切にしていて、家を建てたい、リフォームしたいと思ったときに気軽に相談してもらえるよう、初めは無料で相談に応じています。

 「住宅の設計は使う人の顔が見えてとてもやりがいがあります。住み始めたお客さんの笑顔を見れた瞬間が何よりうれしい」。そこに住む人の気持ちを考えながら設計図を組み立てていくのがとても楽しいと言います。「妻の意見を参考に女性目線の使い勝手も重視しますし、外観が町並みに溶け込んでいるかも重要。お客さんには将来への想像力を最大限に発揮しながら設計に携わってもらうようにお願いしています」。依頼者と同じ目線で考える、やさしい家が「林アトリエ」の作品です。


■模型作りも建築家の重要なお仕事




■1日のスケジュール
4:00/起床。基本計画など作業に取りかかる
9:00/建設現場へ向かい現場監理。お客さんとの打合せ
13:00/実施設計など
21:00/基本計画など
24:00/就寝

■経歴
1995年/義史さん大学院卒業後、京都市内の設計事務所に就職
1996年/大学卒業後、いくつかの設計事務所で働いてた雅子さんが、義史さんと同じ設計事務所で働くように
1997年/結婚
2002年/一級建築士事務所開設
2005年/設計に1年をかけ、ご夫婦の夢だった自宅兼事務所が完成。現在に至る

林アトリエ
〒606-0912
京都市左京区松ヶ崎呼返町31番2
tel・fax/075-722-2579
http://www2.odn.ne.jp/hayashi-atelier/
※自宅見学・無料相談は事前にお問い合わせください。
※CIAO MAGAZINE 2006年10月号より抜粋

家具職人 フィンガーマークス 最住 宣政 (もずみ のぶまさ)


第1回目の記念すべき「働くかたち」は
家具職人 フィンガーマークス 最住 宣政 (もずみ のぶまさ)さんです。

「家具を生き返らせる『きっかけ』を提案したい」
京都では数少ない、家具の修理に携わる最住さんをご紹介します。

 二条通にあるフィンガー・マークスは、家具から家の内装に至るまで気軽に相談できるお店。4名のスタッフの中で、主に修理を担当しているのが最住さん。「修理担当といっても、お客さんの担当になれば、家具の相談から見積りまですべての業務を行います。お客さんの希望通りの商品をプロデュースする仕事です」。

 最住さんが家具職人を目指したのは4年前。「あるアートイベントでデザイン家具を見て、これなら自分でも作れるんじゃないかって思いました」。自宅に帰ってすぐにイス制作に取りかかった最住さん。「でも、ただ簡素なイスを作ろうとしたのに、すごく難しかった」。家具制作の奥深さを実感、木の温かさと変幻に魅了され、その後、研修で訪れた木工所で木に触れることの楽しさを知ったことで、家具職人としての進路を心に決めました。

 フィンガー・マークスに就職して1年半。家具作りだけでなく、接客も一から学んだ最住さん。「お客さんが思い描く通りの商品を提供するには、お客さんの話に耳を傾けることが第一ですが、本当にお客さんとお話するのは楽しいですね」と、今では接客中の笑顔が自然と出てくるようになりました。お客さんの部屋全体の雰囲気に合ったものを検討するためにも、直接自宅へうかがうこともあるそう。「部屋全体のコーディネートもすごく重要なんです。だからお客さんのイメージされていることをよく聞くようにしてます」。

 今年4月から始めた家具の修理業務では、こんなにきれいになるのかと驚かされることばかり。古い桐ダンスが新品のようになったときには、心からの感動を味わったとか。「でも修理だからといって、ただきれいにするだけではだめなんです。大切なのはお客さんの好みにあった仕上げを施すこと。新品同様にしたい人もいれば、使い込んだ深い色合いを求める人もいますから」。修理を必要としている人は予想以上に多く、その反響の大きさにも驚いています。
 「修理は家具をよみがえらせる『きっかけ』づくりなんです」。若くして天職を見つけた最住さん。仕事に対する丁寧さと真剣さ、そしてオーナーも認める繊細なセンスで活躍中です。

■スケジュール
9:00/出社。前夜にトラックに積んでおいた家具を納品。納品作業はお客さんの希望もあり、営業時間外で行うことが多い。
11:00/店舗オープン。担当するお客さんの修理や見積り、接客、メーカーとの連絡などの店内業務を行う。お客さんの希望に合わせて、実際にお宅にうかがい、家具を置く場所のサイズの計測や室内の配色を確認することもある。
12:00/昼食後、再度業務へ。時間を見つけて家具に使う部品を卸業者まで探しに行くことも。
19:00/閉店。

■経歴
2003年/京都芸術デザイン専門学校家具コース卒業。在学中からアルバイトをしていた木工所に就職。
2004年/12月にフィンガー・マークスに入社し、現在に至る

finger marks フィンガー・マークス
〒604-0831
中京区二条通高倉西入ル松屋町58-2
tel/075-212-8360
水曜日定休
URL  http://fingermarks.net
E-mail info@fingermaeks.net
※CIAO MAGAZINE 2006年12月号より抜粋


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